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無限の思考
 「建築家の人って建物を考えるとき、どんな風にするんですか?」たまに聞かれて困ります。「大きい事と小さい事を同時に考えていて、ある一瞬にポっと降りてくるんです」なんて言うもんなら、相手は「キョトン」としてしまいます。そんな風に自分の頭の思考を客観的に第3者に伝えると


つくづく変わった能力を必要とした仕事をしているな〜と実感します。10ヶ月になる娘が玩具で遊んでいるのを見ながら自分の幼少期を思い返すと、何か答えが見えたような気がします。子供時代にあまり玩具を買ってもらえなかったので、よく道路に蝋石で線路を描いては空想の中で電車を走らせていました。


頭の中で空想して、走らせて、また描いて・・・と、やっていることは子供時代も今も全く同じ。あの頃と同じように頭の中から生まれるものは無限に広がっています。そう考えると特定の遊び方しか出来ない玩具によって無限にある可能性を、特定の遊び方(=思考)に限定しまう事が非常に怖いと感じました。


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共感と余白をつくる

メーカーのAさんとコミュニティーと建築に関して話しました。最近本当に実感するのですが全く建築に関係ないと言っている人の方が、本質をついている事を話してくれる。だからお会いして話すといつも勉強になります。コミュニティも建築も最後は人。


「それらを取りまとめ、デザインする人にどれだけ共感できるか。だから鹿内さんのやっている何か分からないけど良いと素人の人に感じさせる建築、それを作る事は今後もなくならない王道なんですよ」と言われてしまうと、「がんばります!」って思います。


その話をして「共感を共感で終わらせない」事が大切だと思いました。僕の手を離れて共感した人が共感を実践していく。その為の余白を作る。それが仕事なのかな〜とも思っています。

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違った視点をあたえる

好きな映画に「ルパン三世 カリオストロの城」があります。最後の銭形警部のセリフが好きな男性諸君も多いのではないでしょうか?製作にあたって「ルパン三世ファンクラブ」会報誌に宛てた「ルパン・ファンへ」という宮崎駿の小文がありますので引用してみたいと思います。


『バカ騒ぎをやって笑わせてくれるルパンは、彼の光(機能)を支えている影ともいうべき真情が垣間見えた時、初めて魅力ある人物として理解出来ます』その行動原理は「金・宝石・女」といった表層的なものでなく、心の底には、人間を窒息させる社会のカラクリへの怒りが渦巻いている。


ルパンは心の虚妄を埋めようと行動に駆り立てられます。自分の存在を意味する物にしてくれる闘い。その闘いに自分を導いてくれる人の出会いをルパンは渇望している。ルパンはひとりの少女のために全力で闘います。けれども、ひとりの少女の重ささえ背負いきれないダメな自分も知っています。


心だけ盗ってそのくせ未練は山ほどかかえこんで、それを皮肉なひょうきんに隠して去っていく。去っていかざるを得ない男。それがルパン三世です』従来のルパン像を覆し、成熟したルパンを提示するのが宮崎駿の意図でした。この違った視点を与える問題設定。勉強になります。出典:宮崎駿全集 叶精二著


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審査講評を読んで
 昨日、上州富岡駅舎設計提案競技の審査講評が出ました。コンペに取り組む前から難しいと思っていましたが、やはり建築を取り巻く状況は難しいと改めて感じました。でも審査委員長である隈さんのコメントは、私達のような若手建築家たちに現実を突きつけ、そして叱咤激励をし、強い奮起を促すメッセージであったと思います。SUSというアルミメーカーの広報誌であるecoms33号での内藤廣さんのインタビューと合わせて読むと、更にその思いが強くなります。読む機会があれば是非読んでみてください。
ところで、審査講評も出たので今回のコンペに関して自分なりに整理をしたいと思います。
今回はコンペに参加するにあたり富岡に宿泊をしました。富岡製糸場の世界遺産登録と共に富岡を滞在型の町に変えていきたいという方針が打ち出されていたからです。富岡製糸場の周辺は歓楽街で、かつての企業城下町の繁栄を物語っていましたが、個人的な意見ですが「これは難しいな」と感じました。まず東京から新幹線で2時間という距離。伊香保、草津、軽井沢など近隣には富岡よりも魅力的な滞在型のコンテンツを持った地域がある事。富岡製糸場が世界遺産に登録されても、最終目的地としてではなく通過点になってしまうのではないか・・・そのような恐れを感じました。そのように考えると世界遺産登録は富岡の町の根本的な問題解決にはならないのではないかとも思え、もう少し広域的な視点、産業創出的な視点を持たないと町は衰退の一途をたどってしまうと個人的には思います。そこで「糸」というものをキーワードにしました。「養蚕」「製糸」「織物」といった絹を取り巻く文化は桐生など群馬一体に分布しており、富岡だけにとどまらずに、魅力を周辺地域に波及させる事が必要と考えたからです。
現実的な諸問題を解決した上で「どこまで色々な事に広げられるか」これも無形の物を創造し、提供する建築家の重要な役割であります。またコンペがんばります!
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物を持つ事の大切さ
ピラミッドしかりですが、人間が自分のお墓をつくるのには共通した心理が働くそうです。
「思い出として人々の記憶に残っていく事は難しく、時間の経過とともに記憶が薄れていってしまう事を人間は認識しており、自分が存在した証を残す為に人はお墓をつくる」というのを聞いた事があります。今回の津波で衝撃を受けたのが、津波によって家族も無くされ、そしてその人が存在した思い出の品も無くなってしまった方々の報道を目にした時です。物を所有しない、身軽さを求める風潮がありますが、物を持つ事の大切さも改めて実感します。そのような事を感じていたおりに、新聞記者をしている友人が心温まる記事を書いていたのでご紹介します。

 http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103220065.html
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再建築不可
事務所のある神楽坂は路地が多く残る風情のある町です。先日の地震で周囲の家も瓦が落ちるなど多少の被害があり、周辺の方々からも建替えができないものかと話になり役所にいってきました。ちょっと法律的なお話ですが・・・建物を新築する際には道路に接する事が義務付けられています。しかし神楽坂のような古くからある町では法律上の道路(生活として利用して道路とはまた別の法律として認めてる道路です)に接する事ができていない建物が多く、このような敷地は新築をしようとすると道路に接していないため、再建築不可となる場所が多々あります。先日の地震でかなり家に損傷を負ってしまい、住む事ができなくなってしまったお年寄りが役所に「なんとか新築できないか?」と相談に行ったそうなのですが、法律上は難しいから新築はできないので更地にして他に引っ越してくださいと言われたそうです。新宿区としては古い町並みが残っている神楽坂は遠方からも人々を集客する魅力ある場所となっており、その活用を進めるべき場所ではあるのに・・・一方では法律で認めている道路に接していない敷地を選んで家を建てたのは自己責任でしょという対応。魅力ある場所をうまく残しながら地域の新陳代謝をすることはできないのでしょうか?古くからお住まいの方にお話を伺うと「終戦直後はバラックが広がる場所だったから、戦後復興の流れでそのように建った家も多いのよ」と言っていました。建築基準法第1条の目的に「国民の生命、健康、財産の保護をはかり、もって公共の福祉を増進に資する」と書いてあるように、法律や行政はこのような時こそ柔軟な対応を図れないものかと考えさせられます。
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東北地方太平洋沖地震
 3月11日に東北地方太平洋沖地震にて被災されまして皆様には、心よりお見舞いを申し上げるとともに一日も早い復興をお祈り申し上げます。建築に携わる者として今回の未曾有の光景は
心に痛く、色々な事を改めて考えさせられる思いです。私事では恐縮ですが大学院を卒業した年が世界貿易センタービルの9.11テロが発生した年であり、少しでもあのような事件を心に刻む思いで大学院卒業の制作の題材にし設計を行いました。あの時、世界中の人々が感じた悲しみや平和への想いといった「人と人のつながり」のようなものは、決して物質的な充足や快適性といったものでは生み出されないものです。当時、建築も効率性・快適性のみを追求するのではなく「人と人とのつながり」などを生み出す必要性があるという考えに改めて至りましたが、今回人々の支援の和を見ると同じ思いを改めて実感しました。

寒さが厳しい避難所の現状をみて、段ボールメーカーや普段使用してる断熱材メーカーに避難所となっている体育館の床からの冷気を遮断する素材の提案をしましたが、発泡スチロールメーカーからは14日の時点で政府に断熱材の提供を具申し緊急救援物資として被災地への送付行っており、段ボールメーカーからは自社製品の発送と共に提案した冷気を遮断する素材に関して今後実験など検討を行う旨の連絡がありました。製造メーカーのこのような迅速な対応には頭が下がる思いです。私も建物を建てる仕事をする者の一人として皆様のお役に立てればと改めて思っております。







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